チームラボ 取締役
堺 大輔
東京大学 大学院
工学部機械情報工学科
学際情報学府修了
東京大学工学部機械情報工学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。大学時代の研究テーマは、ヒューマノイドロボットのウェアラブル遠隔操作システム。大学院在学中にチームラボ創業に携わり、現在は取締役。社内では「カタリスト」として、プロジェクトに「化学反応」を起こす役割を担っている。
堺 大輔
東京大学 大学院
工学部機械情報工学科
学際情報学府修了
東京大学工学部機械情報工学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。大学時代の研究テーマは、ヒューマノイドロボットのウェアラブル遠隔操作システム。大学院在学中にチームラボ創業に携わり、現在は取締役。社内では「カタリスト」として、プロジェクトに「化学反応」を起こす役割を担っている。
私の仕事は「カタリスト」。決して、「語りまくる人」ではありません。
カタリストは、化学用語の「触媒」を意味します。例えば、社内のプロジェクトチームで得意分野の違うAさんとBさんとものづくりを設計しながら、ものづくりする人がやりやすい環境をつくるのがカタリストの仕事。つまり、人をつないで化学反応を起こす役割なのです。
チームラボは、プログラマ、エンジニア、Webデザイナーといったさまざまな分野のスペシャリストたちが、新しい「もの」をつくり上げることを仕事にしています。私は、立ち上げから関わっていて、現在は取締役を務めています。
チームラボには、現在約400人のメンバーがいて、そのうち7割がエンジニア系のスキルを持つメンバー、残りの3割が企画やディレクションを担うメンバーです。ただ、うちには、ディレクターやプロジェクトマネージャーといった仕切り役にあたる肩書きの人はいません。役職や担当部署に縛られず、各分野の専門家たちがフラットにチームを組んで一緒に考えるスタイルで仕事を進めます。机上の空論より現場で手を動かしながら考えたほうが、いいアイデアが出るものです。
こういうやり方なので、エンジニアがプロジェクトの企画からスケジュール管理、予算管理まで担当することもあります。私はできることは何でもやればいいと考えています。もともと大学の研究室では、自分でプランや予算を立てて、ものをつくり上げる作業を繰り返してきたわけですから……。
とはいえ、やはりプロジェクトの進行役は必要です。そこでカタリストが、契約書などの書類作成、進捗管理、外部との交渉などを担うのです。だいたいひとつのプロジェクトに関わるカタリストは1 ~ 2名。もちろん同時にいくつもプロジェクトを掛け持ちしている状態です。忙しい毎日ですが、私はこの仕事がとても自分に合っていると思っています。
代表の猪子寿之をはじめとする計5名のメンバーでチームラボを創業したとき、私はまだ東京大学に通っていました。当時の研究テーマは「ヒューマノイドロボット」。具体的には、ウェアラブル機器を使って、ロボットを遠隔操作するというものでした。遠隔操作のための装置の実機をつくっていたので、プログラミング技術を用いたソフト開発からハードウェアの設計まで、情報系の幅広い知識を学びました。これらは現在、カタリストとして、スペシャリストたちと深く議論する際に非常に役立っています。ただ、大学時代に学んだ最も重要なものは、「これをつくりたい」と思ってイメージしたものをゼロからつくり上げ、この手で動かしたときの感動であり、" 手応え" だと思っています。
ものをつくるって、ものすごく細かい作業の積み重ねの上に成り立っていて、自在に動く遠隔操作ロボットの背景には、気が遠くなるようなトライ&エラーの歴史があるわけです。チームラボは、学生時代にこういった経験をしてきた仲間の集団なので、自然に通じ合えるものがあるのかもしれないですね。
5人ではじめたチームラボは、今や400人になり、2015年には、「ミラノ万博」で日本館の展示を担当するという大役を任されるまでになりました。自分たちの作品を楽しんでくれる人たちを間近で見られることがモチベーションとなって、ここまで続けて来られたと思っています。
最近は、手がけた作品が人をつないだり、育てたりするような役割を担いはじめていることにも大きなやりがいを感じます。やはり、「ものをつくる」ということを実現できるのが、理工系の学びの「価値」ですよね。
理工系の進学をめざす高校生にアドバイスですか? うーん、あえて言うならば、専門にこだわって自分の選択肢を狭くしないでほしいですね。どんなときも扉を閉じる選択はしないで、さまざまなことに足を突っ込んで、なんでも吸収していくことで、将来はどんどん面白くなると思いますよ。
オープンでカラフルなチームラボの会議スペース。
「お絵かきタウン」は、子どもたちが描いた絵によって街ができ、 みんながどんな絵を描くかによって、街が変化していく。
「2015年ミラノ国際博覧会」の日本館で展示されたデジタルインスタレーション作品「 HARMONY」。同万博の「BEST PRESENTATION賞」を受賞。
プログラマ、エンジニア、CG アニメーター、絵師、数学者、建築家、Web デザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会のさまざまな分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。47 万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。近年は、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet 20th Anniversary」などを手がける。2016 年2 月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」を開催中。3 月にトルコ・イスタンブールとオーストラリア、5 月にタイ・バンコクでも展覧会の開催を予定している。
※インタビュー内容は取材当時のものです。