「データサイエンス」は、数学や統計学をベースに、ビッグデータ、AI、ロボット、アプリ開発などを幅広く扱う学問領域です。
「データサイエンスは、新しい価値を生み出す重要な学問です。データを扱うプログラミング言語は、現在の英語と同じくらい全世界、全業種で必須のスキルになるでしょう」
そう語るのは、ライフイズテック株式会社代表取締役CEOの水野雄介さんだ。データサイエンスとは、その名の通り「データを使った科学」。主に情報工学や統計学の知識を用いて、インターネット上などにあふれる膨大なデータから有用な知見を得たり、それをビジネスに応用したりする方法を探る学問だ。話題の「ビッグデータ」「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」といったキーワードは、すべてデータサイエンスに紐付くものだ。では、データが生み出す新しい価値とはどのようなものだろう?
「例えば、受験生なら誰でも気になる『偏差値』。これは、学力を測る尺度のひとつで、同じテストを受けた集団の中で、自分がどのくらいの位置にいるかを示す数値です。これまでは、この単一的な指標だけで、学力が評価されてきました。こうした価値観は、データサイエンスの登場で変わります。今後は、学力テストだけでなく、複合的なデータを収集し組み合わせることで、見えなかった『個人の特性の可視化』が進みます。すると『プログラミングへの適応力』『ゲームプレイ中の集中力』といった新しい価値基準が生まれ、評価されるようになるのです」
これは、データサイエンスから広がる未来のほんの一例だが、自分に関するあらゆるデータを集めて、整理し直したら、確かに新しい強みが見えてくる期待感がある。
高校生のみなさんの中には、データサイエンスやプログラミングへの興味はあるけど、何から始めたらいいかわからないという人も多いだろう。そんなときは、まず身近な誰かのために、テクノロジーを使ってものをつくってみてほしいと水野さんは言う。
「Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグも最初のものづくりは実家の歯医者のホームページ制作だったと知られています。大学の学生名簿としての役割でつくられたFacebookは、やがて世界中で使われるSNSに発展しました。特定の誰かの生活を豊かにするためにつくられたアプリやホームページでも、同じ悩みを抱えた世界の裏側に住む人の役に立つことがある。それがテクノロジーを使ってものをつくることの面白さであり、だからこそ大きな可能性を秘めているのです」
アプリや映像制作は、意外と簡単で、やってみれば誰でもできる。一度つくってみれば、喜んでくれる人も必ずいるし、自分に足りない技術や知識もわかってくるだろう。まずは未知の可能性に挑戦してみよう!
データサイエンスやプログラミングといったスキルを使って社会を変えたい―。「Life is Tech ! 」が提供しているのは、そうした意欲を持つ中高生の足がかりとなるような教育サービスです。春・夏・冬に開催している短期集中キャンプでは、アプリやゲーム、映像やメディアアート、デジタルミュージックといったオリジナルのものづくりを4日間で学ぶことができます。参加者はプログラミング未経験者がほとんどですが、誰でも一から技術を身につけることができるようになります。1年間を通してじっくり学ぶプログラミングスクールやディズニーとコラボしたプログラミング入門教材も用意しているので、よければWebサイトをチェックしてみてください。
キャンプでは、100時間の研修を受けた大学生のメンターが一人ひとりの生徒を丁寧にサポートする
1982年、北海道生まれ。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒、同大学院修了。大学院在学中に、開成高等学校の物理非常勤講師を2年間務める。大学院修了後、人材コンサルティング会社を経て、2010年7月、ライフイズテック株式会社を設立。